パスタの黒胡椒を選ぶなら、まず「使う直前に挽くか」「どの粗さにするか」を決めます。ホールと挽き目を調整できるミルは使い分けやすい組み合わせですが、手元の粗挽き胡椒でも始められます。産地名や高価さだけで料理への向き不向きは決まりません。
| したいこと | 選び方・代用 |
|---|---|
| なめらかなソースになじませたい | 細かめに挽き、少量から味を見る |
| カチョエペペで胡椒の粒を感じたい | 粗挽き、または乳鉢で粗く砕く |
| ミルがない | 乳鉢を使うか、丈夫な食品用袋に入れて麺棒で砕く |
| ミルを買いたい | 挽き目の調整、詰め替えやすさ、使える香辛料を確認する |
テリチェリーは別の胡椒の品種名として選ぶものではなく、大粒の黒胡椒を表す流通上の名称です。具体的な等級は商品ごとに確認してください。たとえばIndia TreeのテリチェリーはTGSEB等級として販売されています。ここから、好みの粗さと入れるタイミングを選びます。
- 挽き方粒を粗く砕くか細かく挽くかで香りの出方を変える。
- 炒り方生のまま使うか、乾煎りや油で香りを開くかを選ぶ。
- 入れる時点最初のソース作りか、盛り付けの仕上げかに分かれる。
胡椒は産地より、挽く・炒る・入れる時点が工程を分ける。
カチョ・エ・ペペの「ペペ」は工程が1つ増えている
カチョ・エ・ペペの胡椒は、仕上げに振るだけの流派と、先に炒って香りを作る流派に分かれます。差が出るのは産地より、挽き方・炒り方・入れるタイミングの3点です。チーズの扱いはカチョ・エ・ペペの比較ページで詳しく書きました。
- 仕上げに生で砕いた粒を盛り付け後に振り、鮮烈な香りを残す。
- 乾煎りして砕く粒を油脂なしで炒り、乳鉢やミルで粗く砕く。
- 油で香り出し粗挽きを油で短く加熱し、香りを脂へ移して使う。
生・乾煎り・油加熱で、胡椒の香りが入る場所が変わる。
胡椒を生で使うか、炒ってから使うか
リュウジは下準備で粒黒胡椒を刻んでおき、仕上げに振るだけのシンプルな流派です。炒りの工程はなく、砕いた粒黒胡椒を皿に盛った後に振って完成させています。
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Chef Ropiaは逆に、胡椒を主役として最初に置きます。フライパンの表面が温まったら火を弱め、黒胡椒(ホール)を油脂なしで乾煎りし、それをミルで挽いてフライパンに戻してから茹で汁とパスタを迎えます。材料は黒胡椒・粉チーズ・パスタの3つだけと動画で説明しています。
Pasta Grammarはさらに炒りの時間を長く取り、胡椒を中〜強火で約4分ローストしてから火を止め、乳鉢で粗く挽いて鍋に戻す手順を紹介しています。Italia Squisitaが収録したローマの老舗アルマンド・アル・パンテオンのClaudio Gargioliは、クベバ胡椒(ペペ・ネロ・クベベ)を粒のまま小さめのフライパンでローストしています。粒が半透明になり始めたら油が出てきた合図、という見極め方を示し、吸水紙で冷ましてから乳鉢で搗いています。全て粉にせず一部を粒のまま残す点も特徴です。
Serious EatsのJ. Kenji López-Altは、粗挽き黒胡椒小さじ1をオリーブオイルとともに中弱火で約1分加熱し、胡椒がわずかにジュッと言い始めた時点で火から下ろす、油で香りを出す手順(記事の表現は「Toasting black pepper in oil」。当サイトではこれを「オイルブルーム」と呼びます)を明記しています。このレシピ記事に対応する動画は本人チャンネルの「Food Lab Basics: POV Cacio e Pepe」で、その説明欄が「Here’s a published version of the recipe」として当のレシピページを名指しでリンクしています(説明欄の旧URLは現在このレシピページへ転送されます)。以下の分量はレシピページの記述に基づきます。
このように、挽き方(粗挽き・搗く・粒のまま残す)と加熱の有無(生のまま・乾煎り・油でブルーム)の組合せだけで、少なくとも4通りの流派が成立しています。挽くタイミングまで説明しているシェフは限られます。分解データで確認できる範囲では、リュウジは砕いた粒を仕上げに振り、Pasta GrammarとClaudio Gargioliは炒った粒を乳鉢で搗いています。手順の中でミルを明言しているのはChef Ropiaだけで(乾煎りした粒をミルで挽いて鍋に戻します)、Pasta GrammarとClaudio Gargioliは乳鉢、リュウジは下準備で刻みます。
- 調整式ミル最も粗い設定を確認し、粒感の残る挽き目へ合わせる。
- 乳鉢炒った粒を搗き、粗い粒と細かな粉を混在させられる。
- 袋と麺棒専用品なしでも粒を叩き、仕上げ用の粗さを作れる。
粗挽きが目的なら、ミル以外の道具も精度の高い選択肢。
挽き目の調整幅が狭いミルは粗挽きに向かない
粗挽きを繰り返し使うなら、挽き目を調整できるミルが便利です。乳鉢で砕く方法でも始められます。ミルによっては挽き目の調整幅が狭く、粗挽きに設定できないものもあります。購入時は最も粗い設定の粒度が商品説明に書かれているかを確認してください。挽き目を調整できるミルであれば、リュウジのように粒を砕いて仕上げに振る粗さにも、Pasta Grammarのように炒った粒を粗く挽く粗さにも寄せられます。Chef Ropiaはホールのまま乾煎りしたあとミルで挽いてフライパンに戻す手順で、乾煎りとミルを両方使います。
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胡椒そのものの選び方も仕上がりに影響します。テリチェリーは品種名ではなく、大粒を選別した等級の呼び名です。等級の基準は流通事業者によって幅があります。粒のまま買って使う直前に挽くほうが香りは残りやすい、というのが一般的な考え方です。産地・等級だけで決めず、使い切れる量と好みの挽き目を先に選びます。
ミルを持っていない場合の代替は、乳鉢とすりこ木、またはビニール袋に入れて麺棒で叩く方法です。Pasta GrammarやItalia Squisitaのように粒を炒ってから搗く工程では、むしろミルより乳鉢のほうが粒の大きさをコントロールしやすいという見方もあります。
- 粒で用意使い切れる量の粒胡椒を、香りを保ったまま置く。
- まず粗く砕く仕上げ振りで、粒感と香りの基本を確かめる。
- 次に炒る慣れたら乾煎りや油加熱を足し、香りの差を比べる。
最初は粗挽き、次の一皿で加熱を足すと差が分かる。
まとめ
カチョ・エ・ペペの胡椒は、仕上げに振るだけの脇役から、最初に炒って香りを作る主役まで幅があります。まずは仕上げに粒黒胡椒を砕いて振るリュウジ式(動画では砕いた粒を振って完成させています)から試し、ミルしか手元にない場合は粗挽きに設定して代用し、慣れてきたら乾煎りや乳鉢での粗搗きに挑戦すると違いが分かりやすいはずです。工程ごとの詳しい分岐はカチョ・エ・ペペの分解ページから確認できます。