- 原典版郷土の老舗シェフが受け継いだ料理の核を見せる
- 創作版別のシェフが現代的な解釈を同じ題材で示す
- 並べて読む一媒体の主張でなく、二つの技法差を比べる
Italia Squisitaの単位は一人の流派ではなく、原典と創作の対比である。
一人のシェフではなく「誰と誰を並べるか」で見せるメディア
Italia Squisitaは個人シェフのチャンネルではなく、毎回著名シェフを招いて同じ料理を作らせ、技法を比較するイタリアの料理メディアです。カチョ・エ・ペペでは、ローマの老舗トラットリア「アルマンド・アル・パンテオン」のClaudio Gargioliによる「originale(原典)」と、Cristina Bowermanによる「gourmet(創作)」を対比させる構成で紹介しています。アマトリチャーナも同様に、Gabriele Perilliの原典版とAngelo Troianiの創作版が並びます。このサイトでは原典版の2本を工程分解の対象にしています。編集部の見立てでは、同じ料理を対比の型で見せるこのフォーマット自体が、Italia Squisitaを「ローマ4大パスタの参照元」として扱われやすくしている理由です。
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- 控えめな湯量は数値化せず、デンプンを濃くする方向を示す
- 適量の粗塩濃度の指定がなく、自宅では換算が必要になる
- 火なしの乳化ペコリーノと茹で汁を液状だが濡れない状態へ
数値の空白を残しつつ、少ない湯と完全オフヒートの方向は明確である。
湯量と塩だけ数値がない:塩は「適量」、水は「ケチる」
Gargioli版の特徴は、数値ではなく感覚語で語られる工程の多さです。粗塩は「適量(q.b.)」、水は「avara(ケチる=控えめ)」とだけ表現され、湯量や塩分濃度の数値は出てきません。ローマの伝統系レシピに共通する語り口だと見られます。
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胡椒はペペ・ネロ・クベベ(クベバ胡椒)大さじ1を使い、手順では粒のまま小さめのフライパンでローストするとされています(材料表の表記は「粗挽き」で、出典内で表記が割れています)。粒の「真珠」が半透明になり始めたら油が出てきた合図で、吸水紙で冷ましてから乳鉢で粗く搗きます。全部を粉状にせず一部を粒のまま残すのが特徴です。
乳化はソース用のフライパンを火から下ろした状態でスタートします。おろしたペコリーノ150gと茹で汁少量を溶き、搗いた胡椒を加え、アルデンテのパスタを合わせて、常に火を止めたまま丁寧にマンテカーレします。Italia Squisitaのレシピ文では「すべてが液状のまま、しかし濡れていない状態を保つ、ここが一番難しい」と書かれています。ペコリーノはスパゲッティ600gに対して150g(麺100gあたり25g)で、油脂は一切使いません。カチョ・エ・ペペの流派の中では中位の量です。
自分の鍋の湯量に換算したい場合は、%から塩の量を出した上で、原典版の「控えめ」に寄せて調整するのが実務的です。他のシェフの分量と比べたい場合はカチョ・エ・ペペの比較ページにまとまっています。
- 豚を強火で焼く追加の油なしでグアンチャーレを色づける
- 少量のワイン大さじ一だけで蒸らし、トマトをゆっくり煮る
- 火を消してチーズ一分早く上げた麺へペコリーノを練り込む
豚は強火、トマトは弱く、チーズは火を消す三段階で仕上げる。
油は使わない、強火で一気に:アマトリチャーナ原典版
Perilli版のレシピには玉ねぎもニンニクも登場しない、伝統ローマ派の代表例です(不使用の是非についての言及はなく、材料表からの読み取りです)。グアンチャーレ150gを長い短冊状に切り(スライスの最初の数枚は捨てる指定)、油を足さず強火(fuoco vivo)でこんがり色づくまで加熱します。低温でじっくり脂を出す流派とは真逆の方向性です。
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白ワインは大さじ1のみ蒸らし用に使い、ホールトマト400gを加えて塩で調え、最後に唐辛子1本を入れてソースを「piano piano(ゆっくり)」煮ます。Pasta Grammar版は麺160gに白ワイン60ml。麺100gあたりに直すとPerilli版は約3ml、Pasta Grammar版は約37mlで、桁が違います。
仕上げは、指定茹で時間の1分前にスパゲッティ500gを湯切りし、直接ソースのフライパンへ。火を消した状態でペコリーノ100gを加えながら数分マンテカーレします。麺100gあたり20gで、このサイトで分解したアマトリチャーナの中では最もチーズが多い部類です。
グアンチャーレの脂の出し方は流派によって強火派とじっくり派に分かれます。他シェフとの違いを見たい場合はアマトリチャーナの比較ページを参照してください。
- カチョ・エ・ペペクベバ胡椒と、常に火を止めた乳化が核になる
- アマトリチャーナ油なし強火の豚と、少量の白ワインが核になる
- 共通の終点どちらも直火を止めてマンテカーレする
二つの原典版は前工程が違っても、最後はオフヒートでつながる。
まとめ
Italia Squisitaのカチョ・エ・ペペとアマトリチャーナは、どちらも「火を止めてから仕上げる」マンテカーレを軸にしている点で共通しています。カチョ・エ・ペペはクベバ胡椒と「常に火を止めたまま」の乳化、アマトリチャーナは油なし強火のグアンチャーレとワイン大さじ1が原典版らしさです。カチョ・エ・ペペは数値化されていない工程が多いので、まずは「originale」の語りをそのまま再現し、感覚をつかんでからレシピビルダーで他の流派と組み合わせてみるのがおすすめです。