表示時間から必ず同じ分数を引く、というルールはありません。 ソースの中でさらに加熱するのか、ボウルで和えるだけなのかで、鍋から上げる時点を変えます。まず袋の時間を基準に一本を味見し、仕上げ後に食べたい硬さへ合わせます。
| 仕上げ方 | 鍋から上げる時の考え方 |
|---|---|
| 皿でソースをかける | 鍋の中で食べたい硬さまで茹でる |
| 油やトマトのソースで加熱する | 仕上げの加熱を見込み、少し硬さを残して味見する |
| 卵液やジェノベーゼと短く和える | ソースの中で長く煮て硬さを直そうとしない |
| レシピが長時間のソース煮を指定する | 早上げ時間だけでなく、水分量と全工程もそのレシピに揃える |
初めての麺は袋の表示より少し前から味見し、次に同じ麺で作る時の基準にします。「半分の時間で上げる」という一部の手順を、別のソースへそのまま移さないでください。
- 袋を読むその商品が示す時間を、最初の基準にする
- 後工程を足すフライパンやボウルでの仕上げも数える
- 最後に味見皿になる直前の硬さで引き上げ時刻を直す
茹で時間は鍋だけで完結せず、仕上げ後の硬さから逆算する。
表示時間を基準に、仕上げ後の硬さを見る
袋の表示時間は、その商品の調理を始める基準です。メーカーごとの条件を確認せず「鍋から直接食べることだけを想定している」とは断定できません。フライパンやボウルでの仕上げまでを含めて、最後の硬さを味見します。
- 30秒前Ropiaのカルボナーラは余熱仕上げが短い
- 1分前複数流派で使うが、その後も加熱する場合がある
- 半分で移す日髙のボンゴレは残りをあさりの汁で煮る
同じ「早上げ」でも、鍋を出た後の加熱時間が違う。
30秒早く上げる人と、半分で上げる人
早上げの幅はシェフによってかなり違います。
詳しい解説を読む
- リュウジは、カルボナーラで「袋の表記より1分短く」茹でると説明しています(塩分は湯に対して1%)
- Chef Ropiaは同じくカルボナーラで「表記より30秒早く」引き上げるとしており、カチョ・エ・ペペでは「表示時間より2分短く」とやや幅を広げています
- 落合務(NHK「きょうの料理」版)は、湯3Lに塩大さじ2.5(1.5%相当)でスパゲッティ1.4mm 140g(2人分)を「表示時間より1分短く」茹でるとされています
- Italia Squisita(Gabriele Perilli氏)は、アマトリチャーナで「指定茹で時間の1分前」に湯切りし、直接ソースのフライパンに投入して仕上げると説明しています
- Pasta Grammarは、アーリオオーリオでパッケージが示すアルデンテ時間より2〜3分短くタイマーをセットし、残りはソースの中で仕上げる方針を明言しています
- 日髙良実は、ボンゴレ・ビアンコで「パッケージの表記の半分の時間までゆで、湯切りします」と、鍋から上げるのがこの比較で最も早いです。残りはフライパンで「残りのゆで時間より1分短く」加熱するので、鍋とフライパンを足すと表記−1分になります。ただしこの数字をリュウジや落合務の「表記−1分」と並べることはできません。あちらは鍋の中だけの時間で、そのあとフライパンでも火にかけるからです(落合務は手順3で「中火にかける」、リュウジは冷ましたフライパンを弱火にかけて卵液を合わせます)。なお日髙良実の引用は、クラシルが本人に教わって再現したレシピの手順文です
- Not Another Cooking Showは同じくボンゴレ・ビアンコで「表示の1〜2分前、アルデンテの少し手前」で鍋に移すと説明しています
Chef Ropiaのカルボナーラ動画では、茹で上げから和えるまでの流れを確認できます。
再生するとYouTubeの埋め込みプレーヤーを読み込みます。YouTubeで開く
- 余熱で和える卵液のボウルなら、早上げ幅は小さくて済む
- ソースで煮る二〜三分を移す設計なら、早く鍋から出す
- 蒸し汁で仕上げ半分で移しても、合計時間は表記付近に戻る
早上げ幅は、残りをどこで何分加熱するかの配分で決まる。
引き算の量を決めているのは、鍋を出たあとの時間
早上げの幅がバラバラなのは、そのあとの仕上げ工程の長さが違うからだと編集部の見立てでは考えています。Pasta Grammarのように、引いた2〜3分をソースの中での仕上げに回すと明言している流派は、早上げ幅も大きくなります。逆にChef Ropiaのカルボナーラのように、フライパンで軽く和えたあと、火にかけていない卵液のボウルへ麺を移して余熱で仕上げる流派は、鍋を出たあとの加熱が短く、早上げ幅も30秒程度で済みます。
詳しい解説を読む
もう一つの軸は、鍋を出たあとの麺をどの水分の中で加熱するかです。日髙良実のボンゴレ・ビアンコは、表記の半分の時間で麺を引き上げていったん湯を切り、残りをあさりの蒸し汁と足し湯の中で仕上げます(茹で汁は持ち込みません)。この場合の「早上げ」は硬さの削減ではなく、加熱をどこで行うかの配分です。レシピは鍋で表記の半分、フライパンで「残りのゆで時間より1分短く」と両方を明示しており、合計は表記−1分に収まります。仕上げに使う水分がソースそのものか、追加の少量の湯かによっても、引くべき時間は変わります。
- 麺を合わせる袋の時間と、レシピ指定の太さを確認する
- 後加熱を数える煮る時間と追加する水分を一緒に確認する
- 一本で調整仕上げ直前に食べ、必要な加熱だけを足す
袋、後工程、味見の順で、自分の鍋に合う時刻を決める。
自分の台所で逆算する手順
- 袋の表記時間と、採用するレシピの麺の太さを確認します
- 鍋を出た後に加熱する工程があるか確かめます。和えてすぐ盛るだけなら、機械的に時間を引きません
- ソースで煮るレシピでは、そのレシピが指定する引き上げ時刻を出発点にします。長く早上げする場合は、追加する水分と加熱時間も一緒に確認します
- 仕上げる直前に一本食べて硬さを確認し、必要な加熱を調整します
カルボナーラの流派ごとの分岐点はカルボナーラの比較ページとカルボナーラをシェフ別に分解する記事、ボンゴレ・ビアンコの流派はボンゴレ・ビアンコの比較ページとボンゴレ・ビアンコをシェフ別に比べる記事で確認できます。
- 表示時間商品ごとの基準であり、固定の正解ではない
- 鍋の外の熱早上げ後の加熱を、総時間に含めて考える
- 完成時の硬さ同じ麺と一つのレシピを繰り返し、硬さの基準を作る
「何分前」だけを借りず、完成までの総加熱で比べる。
まとめ
袋の表記時間を基準に、追加の加熱があるレシピではその工程も含めて引き上げ時刻を考えます。早上げが必須なわけでも、どの麺でも同じ分数を引けばよいわけでもありません。ここで比較した「30秒前」「1分前」は鍋の中の時間であり、皿ができるまでの総加熱時間とは区別します。まず一つのレシピを選び、同じ麺で仕上がりの硬さを確かめてください。
