生パスタを自宅で打つなら、最初に決めるのはパスタマシンです。結論から言うと、家庭用は手動タイプで十分で、電動化は本数を打つようになってからで構いません。ボロネーゼのように太めの平打ち麺と相性がいい料理から始めると、失敗しても食感の差が気になりにくく、練習台に向いています。
- 乾麺のダイス高圧で押し出して乾燥し、安定したコシと表面を作る。
- 家庭のローラー粉の配合と厚みを自分で決め、柔らかな生麺を伸ばす。
- ソースとの相性平打ち生麺は、水分と具の多いソースを広い面で受ける。
ローラーへ替えると、配合と厚みが家庭側の変数になる。
工業のダイスを家庭のローラーに置き換えると何が変わるか
乾麺はデュラムセモリナ粉を高圧でダイスから押し出し、時間をかけて乾燥させて作るため、コシが安定して出ます。表面のざらつきはダイスの材質で変わり、ブロンズダイス(De Cecco・Garofalo等)はざらつき、テフロンダイス(Barilla等)は滑らかに仕上がります(乾燥温度も製品によって幅があります)。生パスタはその工程を家庭のローラーに置き換えるので、粉の配合と生地の厚みを自分で決める分、失敗もそのまま食感に出ます。ボロネーゼのように具の水分が多いソースは、乾麺の細麺よりも生パスタの平打ち麺のほうが絡みやすく、パスタマシンを買う動機として分かりやすい組み合わせです。
再生するとYouTubeの埋め込みプレーヤーを読み込みます。YouTubeで開く
- 小倉知巳愛用する粉と機械は公開するが、生地の配合比は不明。
- ファビオ00粉に卵黄、卵白、塩、油を合わせる配合が残る。
最初に再現できる配合は、手順と比率が残るファビオ側。
配合を明かしているのは、2人のうち1人だけ
参宮橋「Regalo」オーナーシェフの小倉知巳は、自身のnoteで愛用品を紹介する中で、パスタマシン(インペリアR-220)と、デュラムセモリナ粉・準強力粉(リスドォル)をそれぞれ別項目として挙げています。ただしnoteではセモリナ粉は「フリットとかだと適度にざらついてよし」、リスドォルは「フランスパン粉」として紹介されており、生パスタの配合として示されているわけではありません。同noteは器具や食材の愛用品リンク集で、粉の配合比までは公開されていません。
詳しい解説を読む
一方、ファビオのボロネーゼ動画をもとにした記事(howtocook.jp)によれば、生地は00粉100gに卵黄2個・卵白少々・塩2g・エキストラバージンオリーブオイル10ccを合わせたものとされています。動画本編での再確認は取れていません。マシンで1.5mm厚に伸ばしてから三つ折りにして手切りする、という厚み設定が示されています。配合と茹での詳細はボロネーゼの流派比較に譲ります。セモリナ粉だけで作る生地よりも卵黄の分だけ生地がしっとりして扱いやすくなる配合だと見られますが、この点は動画内で明言されているわけではありません。
いずれも生地の配合は流派によって分かれており、どちらが正解というものではなく、粉の比率はパスタマシンを買った後に自分の生地で調整していく変数です。
- 駆動方式少量なら手動、頻繁に打つなら両手を使える電動を検討。
- ローラー幅作りたい平打ち麺を伸ばせる本体幅かを先に確かめる。
- カッター欲しい麺幅の刃が付属か別売りかを製品ページで見る。
購入前に決めるのは、回し方・生地幅・切りたい麺幅。
手動か電動か、幅とアタッチメントは本体で足りるか
家庭用パスタマシンは大きく手動式と電動式に分かれます。
詳しい解説を読む
- 手動式: インペリアやマルカートのアトラス150が代表的で、ハンドルを回しながら生地を送ります。1回の生地量が少ないうちはこちらで十分です
- 電動式: モーターでローラーを回すため、片手で生地を送りながらもう片方で成形できます。手動式より高価で、頻繁に打つようになってから検討する範囲です
- ローラー幅: 家庭用は150mm前後の製品が多く見られます。タリアテッレやフェットチーネのような幅広麺を打つなら、この幅で足ります
- アタッチメント: 付属するカッターの種類はモデルによって異なります。平打ち麺用と細麺用のカッターは本体に付くモデルが多い一方、詰め物パスタ用やスパゲッティ用のアタッチメントは別売りのことがあります。打ちたい麺の幅が決まっているなら、その幅のカッターが本体に含まれるかを製品ページで確認しておくと無駄がありません
- 中央へ入れるローラー中央へ生地を合わせ、斜め伸びを防ぐ。
- 同じ目盛りで通す向きを変えながら数回通し、厚みの偏りをならす。
- 乾く前に切る打ち粉をして広げ、割れる前に目的の幅へ切る。
薄さを急ぐより、中央投入と均一化を先に覚える。
つまずくのは厚みではなく、生地を送り込む位置
パスタマシンを買った直後につまずきやすいのは、厚みの均一化と乾燥のタイミングです。生地をローラーの中央から外れた位置で送り込むと斜めに伸びやすいため、最初の数回は同じ目盛りのまま生地の向きを変えながら2〜3回通すと厚みが均一になります。伸ばした生地は空気に触れるとすぐに乾いて割れやすくなるので、切る直前まで打ち粉をした生地を重ねずに広げておくのが安全です。編集部の見立てでは、最初の1〜2回は薄さより「均一さ」を優先したほうが、茹で上がりのムラが減ります。
- 公開配合で練る分量が残る00粉と卵主体の一配合から始める。
- 同じ厚みに伸ばすまず指定された厚みを基準に、均一な生地を作る。
- 絡みを確かめる平打ち麺と濃い肉ソースで、厚みとソースの相性を見る。
既知の一配合を固定すると、次に直す変数が見えやすい。
近道は、配合を持つファビオの型ひとつ
パスタマシンは手動式のもので始めて問題ありません。使う粉は、小倉知巳がnoteで愛用品として挙げるデュラムセモリナ粉と準強力粉、ファビオの00粉というように、シェフごとに選ぶ粉が違います。ただし小倉知巳のnoteは粉の銘柄までで、しかもセモリナ粉はフリット用・リスドォルはフランスパン粉として紹介されており、生パスタの配合比は公開されていないため、配合そのものを真似られるのは書き起こしの残るファビオの生地(00粉100g+卵黄2個・卵白少々・塩2g・EXオリーブオイル10cc)だけです。まずはこれを1つの型にして、自分の生地の扱いやすさで比率を調整するのが近道です。ボロネーゼの流派比較を見ながら、平打ち麺に合うソースの濃度も一緒に確認しておくと、最初の一皿から絡みを見極めやすくなります。粉の選び方はセモリナ粉とリスドォルのページ、道具そのものの詳細はパスタマシンのページにまとめています。小倉知巳の調理全体の考え方は小倉知巳のページにまとめています(同ページで分解しているパスタは、ボロネーゼやカルボナーラのように1.5〜1.9mmの乾麺を使うものが中心で、ナポリタンのようにフジッリを使う回もあります)。生パスタの生地そのものはボロネーゼの流派比較でシェフごとに並べています。