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リュウジのボンゴレビアンコには、昆布茶が小さじ1/2入ります。イタリア料理なのに、和の出汁で旨味を後乗せする発想です。ボンゴレ・ビアンコの分岐点は、あさりの汁を麺に吸わせるか、茹で汁と合わせて乳化させるかです。前者はワンパンで麺を貝の汁で煮る型と、別茹での麺に貝の汁だけを吸わせる型に分かれ、後者は別茹での麺に蒸し汁と湯を足して強火で絡める型です。あさりを開けるタイミングの扱いも流派で違います。本記事では7流派を、あさりの開け方・乳化・塩の3点で並べます(比較ページには、本記事で扱わないファビオを加えた8流派が並びます)。
- 開き始めで下ろす殻の隙間を合図に火から外し、余熱で開かせる。
- 開いたら取り出す開いた貝から鍋外へ移し、身の縮みと硬化を防ぐ。
- 蒸し汁を使い切る貝を開いた液体を捨てず、麺へ吸わせて旨味を移す。
火止めの合図と、蒸し汁をどう使うかは別の判断軸。
あさりの扱いの3つの型(開き始めで下ろす/開いたら取り出す/蒸し汁を使い切る)
あさりの扱いは、開き始めを合図に火から下ろす、開いたら取り出して仕上げに戻す、蒸し汁ごと使い切る、の3つの型に分かれます。前の2つは加熱を止めるタイミングの軸、3つ目は液体の使い方の軸で、7流派すべてがどれか1つに収まるわけではありません。
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Not Another Cooking Showは「開くのは『すぐ火から下ろせ』の合図。少し開いてから10秒で完全に開いて完成」と、開き始めを基準にします。リュウジは「あさりは開いたものから取り出すことで、縮みかたくなるのを防ぐ」と書き起こしにあり、5〜6個の大きなあさり以外は殻から身を外します。
日髙良実も、口が開いたら一度取り出し、仕上げに戻す型です。殻付きあさり240gを白ワイン70mlで蒸し、クラシルの原典には「アサリ、白ワインを加えて強火にして蓋をし、アサリの口が開くまで加熱し、取り出します」とあります。取り出したあさりは「少し水分が残るくらいで」戻し入れ、蒸し汁と追加の湯とパスタを強火で絡めます。蒸し汁ごと使い切る型に当たるのがVincenzo’s Plateで、あさり300g(麺100gにあさり100gの比率)を白ワイングラス1杯で蒸し、「真ん中で開かないものは食べられない」と開かない貝の扱いまで書いています。
- 麺のデンプン貝の煮汁で麺を煮るか、少量湯の茹で汁を使う。
- 蒸し汁を煮詰める貝を外した液体の量を減らし、旨味と濃度を上げる。
- 仕上げ油脂オリーブ油やバターを加え、水分と混ぜて白く濁らせる。
ボンゴレの乳化は、デンプン・煮詰め・油脂の重ね方で分かれる。
乳化はデンプンか、煮詰めか
乳化の作り方は、麺のデンプンに任せる型と、貝の汁を煮詰める型が軸で、そこに仕上げの油脂(オイル・バター)で乳化を作る型が重なります。
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リュウジは麺を別茹でせず、水320ccと日本酒50ccの煮汁で1.4mmの麺を煮ます。「あさりの出汁でパスタを茹でることで、パスタの小麦粉が溶け出し鍋の中で乳化する」と書き起こしにあり(第三者サイトの書き起こしで、動画本編との照合は未了)、バター10gは「コクと香りが増す」ための追加、昆布茶小さじ1/2で旨味を後乗せします。Not Another Cooking Showは、パスタ自体を小鍋か少ない湯で茹でて茹で汁のデンプン濃度を上げる方式です。「大鍋だと茹で汁を十分にデンプン質にするのがほぼ不可能だと感じる」と述べていますが、同時に「どちらでも成立する」とも補足しています。
日髙良実は蒸し汁と追加の湯を加えながらパスタを強火で絡める方式(原典は「お湯(調整用)」とだけ記し、茹で汁とは指定していません)、Vincenzo’s Plateは茹で汁を足さず、湯切りした麺にあさりの汁だけを吸わせる方式です。小倉知巳は、あさりを入れて火を止め、水を加えて蓋をして強火、開いたら殻を外して弱火で煮詰め、茹でたパスタを中〜強火で絡めてから、仕上げにバジルとイタリアンパセリとオリーブオイルで乳化させます。
なお落合務は、NHK「きょうの料理」の公式レシピで、あさり500gの蒸し汁を3/4量まで煮詰めてバター10gを加え、鍋を揺すって白くにごるまで乳化させる方式を示しています。放送本編との照合は未了のため、数値は目安として見てください。Serious Eatsは茹で汁を「大さじ1ずつ」足して煮詰まりすぎを戻す精密な調整で、バターは原典で任意です。
- 貝に任せるあさりの海水由来の塩気を見込み、茹で塩を控える。
- 麺へ下味茹で湯へ塩を効かせ、別茹で麺の味を先に作る。
- 後から調整煮汁の味を見て、昆布茶や仕上げ塩で補う型もある。
茹で塩の強さは、貝汁を麺へどれだけ吸わせるかと連動する。
塩は貝に任せるか、しっかり効かせるか
あさりの塩気を見込んで茹で塩を控える流派と、しっかり効かせる流派に割れます。
Vincenzo’s Plateは「岩塩はひとつまみ、入れすぎない。あさりは海の塩気を持つから」と控えめです。Serious Eatsは「12カップの湯に大さじ3」で1%と換算つきで明示し、落合務は熱湯2Lに塩20〜25g(1%強)です。対して小倉知巳は1.5%と高めに振り、「パスタは少し硬めに茹でて、ソースと絡めることで旨味が凝縮される」と説明しています。リュウジは煮汁の塩が小さじ1/5で、味は昆布茶と仕上げの塩で決めます。
自宅の鍋の湯量に合わせるなら、湯量×濃度で塩の量を換算できます(1Lの湯に1%なら塩10g)。
- あさりが硬い開き始めで火を止めるか、開いた順に取り出す。
- ソースが油っぽい濃い茹で汁を少量ずつ足すか、バターで乳化を助ける。
- 塩辛い貝の塩気と茹で塩のどちらを主役にするか一方へ寄せる。
貝の加熱、乳化水、塩味源を一つずつ切り分けて直す。
よくある失敗と流派別の対策
あさりが硬くなるのは加熱しすぎです。Not Another Cooking Showは開き始めで火から下ろし、リュウジは開いたものから取り出します。
ソースが乳化せず油っぽくなるのは、茹で汁のデンプンが薄いか、油と水の比率が崩れているためです。Not Another Cooking Showは小鍋で茹でてデンプンを濃くし、Serious Eatsは茹で汁を大さじ1ずつ足して調整します。落合務はバターで乳化させます。
塩辛くなるのは、貝の塩気と茹で塩が重なるためです。Vincenzo’s Plateのように茹で塩を控えるか、小倉知巳のように茹で塩でしっかり効かせるか、どちらかに寄せてください。
- 麺の茹で方を決める貝汁で煮るか、別茹でして後から合わせるかを選ぶ。
- 貝を開かせる開き始めか完全に開いた時点で、加熱を止める。
- 汁と油をまとめる蒸し汁、茹で汁、油脂を選んだ型どおりに乳化する。
茹で方を決めれば、あさりの火止めと乳化の筋道が揃う。
まとめ
麺を貝の汁で煮るか、別茹でして強火で絡めるか。ここを決めれば、あさりの開け方と塩の決め方は流派ごとに揃ってきます。本記事の7流派にファビオを加えた8流派の工程分解はボンゴレの比較ページで並べて確認でき、工程ごとにシェフを選んで一皿にする手順はレシピビルダーの使い方にまとめています。
