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リュウジの「至高のペペロンチーノ」の材料表には、オリーブオイルが2回出てきます。1本目に大さじ1、そして「〜仕上げの際に追加で〜」にもう大さじ1です。同じ油なのに材料表を分けているのは、加熱を受けるかどうかで役割が変わるからだと考えられます(リュウジ本人は理由を述べていません)。仕上げに加えるオリーブオイルは炒め油と違い、加熱を受けないぶん香りがそのまま皿に残ります。動画で油が2回登場する理由と、仕上げ用の選び方を整理します。
- 炒め油香味野菜へ熱を伝え、香りを油へ移す役を担う。
- 仕上げ油火を止めた後に加え、香りと辛味、苦味を皿へ残す。
同じ一本でも、投入時点で伝熱役と香味役に分かれる。
加熱するかしないかで、同じ油の役割が変わる
ニンニクや玉ねぎを炒める工程のオリーブオイルは、加熱を受けます。加熱で香りの成分は一部飛び、油そのものは脂の伝熱役に徹します。一方、仕上げに加えるオリーブオイルは加熱を受けないため、香りと辛味・苦味がそのまま皿に残ります。
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リュウジの「至高のペペロンチーノ」は、材料表の2本あるオリーブオイルのうち1本目の大さじ1(用途の表記はなく、まとめ記事ではニンニクを炒める工程で使われています)とは別に「〜仕上げの際に追加で〜 オリーブオイル…大さじ1」を立てています(出典)。第三者による作り方まとめでは、火を止めてからこの大さじ1と塩1つまみを加え、フライパンを返しながら混ぜる工程として記録されています(出典)。トマトソースパスタでも同様で、リュウジ版は煮込みに使う炒め用の油とは別に、和える工程でオリーブオイル大さじ1を加えています(出典)。ただしトマトソースパスタでは弱火にかけたまま加える点が、火を止めてから加えるアーリオオーリオとは異なります。炒め工程を終えてから加えることで、香りを飛ばさずにソース全体へまとわせる狙いがあると見られます。
小倉知巳のアーリオオーリオでも、湯を切ってソースと絡めたあとにイタリアンパセリとオリーブオイル(追いオイル)を加える工程が書き起こしに記載されています(出典)。小倉版は材料表ではオリーブオイルを1行にまとめていますが、炒め工程と仕上げの2回に分けて入れる点はリュウジ版と共通です。
- バターで締める火を止め、乳脂肪でコクと重い口当たりを足す。
- チーズで締めるパルメザンを混ぜ、水分の多いソースをまとめる。
- EVOOで締める茹で汁と合わせ、香りとなめらかさを最後に足す。
トマトの仕上げは、乳脂肪かオリーブ油かで重心が変わる。
トマトソースだけは、乳製品に戻す流派がある
トマトソースは水分が多く、油と分離しやすいソースです。ファビオの基本のトマトソースは、媒体によって仕上げが分かれます(j7p版とhowtocook版は材料構成も一部異なります)。j7p版はバター10gとちぎったバジルで和えて粉チーズを振り(出典)、howtocook版は茹で上がり30秒前にソースへ移し、火を止めてパルメザン15gを混ぜます(出典)。2つの二次情報源に記載された仕上げ工程は、いずれも乳製品で、オリーブオイルの追加は書かれていません。
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一方、リュウジの「至高のトマトソースパスタ」は、和える工程でEVOO(エキストラバージンオリーブオイル)大さじ1を加え、濃度は茹で汁で調整しています(出典)。乳化のベースを乳製品に置くか、オリーブオイルに戻すかで流派が分かれる形です。トマトソースの場合、仕上げ油は香りづけに加えて、茹で汁と乳化させて全体のなめらかさを整える役割も担っていると考えられます。
- 等級無加熱で香りを活かすならEVOOを候補にする。
- 風味辛味の強さを、油が主役か脇役かで選び分ける。
- 容量開封後に香りが落ちる前に使い切れる量を選ぶ。
等級、風味、使い切り量の三軸で仕上げ油を選ぶ。
選び方の軸
仕上げ用に使うオリーブオイルを選ぶときの軸は次の3つです。
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- エキストラバージンかどうか: 加熱しない前提なら、非精製のエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)の香りがそのまま活きます
- 産地・品種による辛味の強さ: 辛味の強いオイルはアーリオオーリオのような油そのものが主役の料理に、まろやかなオイルはトマトソースのように他の香りと合わせる料理に向きます
- 開封後の期限: 香りが命なので、香りが落ちる前に使い切れる容量を選ぶ、という考え方があります
炒め用と仕上げ用を完全に別銘柄で揃える必要はありません。同じボトルでも、炒める工程と仕上げの工程で「加熱するかしないか」を意識して分けるだけで、香りの残り方は変わります。炒め用には価格を抑えたオリーブオイルを使い、仕上げ用だけ香りの強い一本を別に用意する人もいます。
- オリーブ油香りを前に出し、軽い輪郭となめらかさを足す。
- バター乳脂肪のコクで、皿の重心を低く仕上げる。
- チーズ併用油の香りを残しながら、熟成由来のコクも重ねる。
代替する脂で、香りの高さとコクの重さを調整できる。
仕上げ油の代替
仕上げをオリーブオイル以外に置き換えているシェフもいます。落合務の「トマトのバターパルミジャーノ」は、湯を切ったパスタを火をつけずに和え、最後にパルミジャーノとバターを加えて一気に混ぜる仕上げです(『「ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ』落合務著・講談社より、出典)。ファビオのj7p版トマトソースパスタも、バター10gとちぎったバジルで和えて粉チーズを振る仕上げでした(出典)。乳脂肪やチーズのコクで代替すると、オリーブオイルより重心の重い仕上がりになります。一方、Vincenzo’s Plateの「Spaghetti al Pomodoro」は、仕上げはEVOOのドリズルとバジルで、ペコリーノ・ロマーノは任意(好みで加える)とされています(出典)。乳製品に置き換えた落合・ファビオの型と比べると、チーズを加えればオイルの香りとチーズのコクが両方残ります。
- 炒める最初の油でニンニクなどの香りを引き出す。
- 火を調整仕上げ油を入れる前に、火を止めるか弱める。
- 香りを足す最後の油をまとわせ、飛ばしたくない香りを残す。
追い油は量の追加ではなく、香りを残す投入順の工夫。
まとめ
仕上げのオリーブオイルは、炒め油とは役割が違います。加熱を受けないぶん香りがそのまま残るため、アーリオオーリオでは味の輪郭を、トマトソースでは乳化のなめらかさを最後に足す工程として使われています。まずは手持ちの1本を炒め用と仕上げ用で使い分けてみて、味の違いを比べてみてください。ニンニクの扱い方をあわせて見るならニンニクの切り方の記事、トマトソースの流派差はトマトソースパスタの比較記事も参考になります。アーリオオーリオの比較ページとトマトソースパスタの比較ページでは、シェフごとの油の使い方も見比べられます。
