ひと皿から、少し遠くへ。Recipes, people & good things.
トラーパニ風ペストパスタ

シチリア

トラーパニ風ペストパスタ

Pesto alla trapanese, 3 ways

トマト・アーモンド・バジル・ニンニクを生のまま乳鉢やミキサーですり潰す、火を使わないジェノベーゼの親戚(別名ペスト・ロッソ/パスタ・クッラッギア)。分岐点は『すり潰す道具(乳鉢かブレンダーか)』と『トマト・アーモンドを生のまま使うか、湯むき・ローストの下ごしらえを挟むか』。

小倉知巳の公式動画

代表動画と、材料や麺が異なる公式アレンジです。作り方は元動画で確認してください。

冷製トラーパニ風パスタ · 代表動画 ·

イタリアンシェフが教える夏のパスタ「雲丹の冷製フェデリーニ トラーパニ風」【イタリアンプロ養成講座 vol.125】

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しらすのシチリア風 · しらす・シチリア風(トラーパニ風との組み合わせ) ·

一つ星イタリアン店の日本初上陸のパスタ「フジッリ・ルンギ 〜釜揚げしらすのシチリア風〜」【イタリアンプロ養成講座 vol.84】

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冷製トラーパニ風パスタ · 冷製フェデリーニ ·

ミシュラン1つ星イタリアン店の「トラパニ風 冷製フェデリーニ」【イタリアンプロ養成講座 vol.36】

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作り手のレシピから選ぶ

各カードは元動画またはレシピ記事へつながります。流派をそのままビルダーに入れることもできます

湯むきトマト×アーモンド、乳鉢が本道

  • トマトとアーモンドの両方を湯むきし、皮を完全に除いてなめらかに仕上げる
  • 本文で『ミキサーでも良いが、できれば乳鉢の方が良い』と道具の優先順位を明記
  • ニンニクは赤ニンニク(Red garlic)と表記し、量は1片のみに抑える
  • 『ゆるすぎたらオイルを足す』と分量に幅を持たせ、家庭での再現性を優先
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本人の発言
  • Place in a mixer, or better yet in a mortar, the peeled tomatoes, the washed and dried bunch of basil, the almonds, a garlic clove and blend everything for a couple of minutes. 出典
  • If it is too dry, add more oil. 出典

参照: [1] [2]

乳鉢必須、ブレンダーは禁忌と明言

  • 動画に『Why You Can't Make Pesto in a Blender!』という専用チャプターがあり、機械撹拌を明確に否定する乳鉢原理主義
  • アーモンドを10分オーブンローストしてから使う(生のまま使う流派と対照的)
  • トマトは湯むきして種も除き、皮も種も残さない徹底ぶり
  • 動画内で手打ちブジアーテの作り方も解説し、伝統的な組み合わせで提供する
元のレシピを見る この流派を入れる
本人の発言
  • Why You Can't Make Pesto in a Blender!(動画チャプタータイトル) 出典

参照: [1]

チーズ不使用、ニンニクをオイルで先に加熱

  • 3流派の中で唯一チーズを一切使わない(ペコリーノもパルミジャーノも登場しない)
  • ニンニクとバジルの茎を先にオリーブオイルで弱火加熱してから素材を加える、半調理型のトラパネーゼ
  • アーモンドは必ずロースト済みの素焼きアーモンドを使用し、生アーモンドは使わない
  • 『ジェノベーゼの派生レシピ』と位置づけ、基本のジェノベーゼ動画をあわせて参照するよう案内している
元のレシピを見る この流派を入れる
本人の発言
  • ジェノベーゼの派生レシピであるブジアーテアッラトラパネーゼ。ローストしたアーモンドの香ばしい味わいが最高な料理です 出典

参照: [1]

10軸で横断比較

数値は各動画・レシピ記事の表現をそのまま転記

AXIS GialloZafferano Pasta Grammar ファビオ
麺・分量 スパゲッティ 11oz(4人分)手打ちブジアーテ(動画12:35〜で製法解説、レシピ記事に分量表記はなし)ブジアーテ60g(フジッリ・ペンネで代用可)
塩 適量で味を調える(湯の塩分濃度の記載なし)乳鉢でひとつまみ加える(正確なグラム表記なし)塩は適量、トマトには『気持ち強めの塩』
ニンニクの扱い 赤ニンニク(Red garlic)1片をそのままミキサーへ2片を乳鉢で塩・バジルと共に最初にすり潰す2カケを潰してオリーブオイルで弱火にかけ、先に香りを立てる
アーモンドの下ごしらえ 1.75oz(約50g)、熱湯で数分ゆでて指で薄皮を除く。ローストはしない¼カップ(30g)、オーブン350°F(175°C)で10分ロースト素焼きアーモンド50g(ローストしたアーモンドを使用。生は使わない)
トマトの下ごしらえ 完熟トマト1カップ、十字に切り込みを入れ熱湯で2〜3分湯むき5½oz(155g)、湯むきして半分に切り種を除くプチトマト100gを半割りにし、生のまま加えて火を入れる
バジルの扱い 1.8oz(約50g)、洗って乾かした葉を使用生のバジル束(正確なグラム表記なし、最初にニンニク・塩と共にすり潰す)バジリコ12g。茎は先に香り出しに使い、葉は後から加える
チーズ ペコリーノ 大さじ1ペコリーノロマーノ 1oz(30g)使用しない(レシピにチーズが登場しない)
すり潰す道具 ミキサー、できれば乳鉢(本文が乳鉢推奨と明記)乳鉢のみ(『ブレンダーでは作れない』と専用チャプターで明言)ハンドブレンダーで撹拌(乳鉢は使わない)
仕上げ オリーブオイル大さじ2を加減しながら加えるエキストラバージンオリーブオイル大さじ1(15g)を最後に混ぜ込むエキストラバージンオリーブオイルを仕上げにかけて完成
所要時間 下準備10分・調理15分(合計25分)合計45分(下準備10分・調理35分相当)合計約15分(目安)
出典の確認 出典確認済出典確認済出典確認済
GialloZafferano 湯むきトマト×アーモンド、乳鉢が本道
麺・分量
スパゲッティ 11oz(4人分)
塩
適量で味を調える(湯の塩分濃度の記載なし)
ニンニクの扱い
赤ニンニク(Red garlic)1片をそのままミキサーへ
アーモンドの下ごしらえ
1.75oz(約50g)、熱湯で数分ゆでて指で薄皮を除く。ローストはしない
トマトの下ごしらえ
完熟トマト1カップ、十字に切り込みを入れ熱湯で2〜3分湯むき
バジルの扱い
1.8oz(約50g)、洗って乾かした葉を使用
チーズ
ペコリーノ 大さじ1
すり潰す道具
ミキサー、できれば乳鉢(本文が乳鉢推奨と明記)
仕上げ
オリーブオイル大さじ2を加減しながら加える
所要時間
下準備10分・調理15分(合計25分)
出典
出典確認済
Pasta Grammar 乳鉢必須、ブレンダーは禁忌と明言
麺・分量
手打ちブジアーテ(動画12:35〜で製法解説、レシピ記事に分量表記はなし)
塩
乳鉢でひとつまみ加える(正確なグラム表記なし)
ニンニクの扱い
2片を乳鉢で塩・バジルと共に最初にすり潰す
アーモンドの下ごしらえ
¼カップ(30g)、オーブン350°F(175°C)で10分ロースト
トマトの下ごしらえ
5½oz(155g)、湯むきして半分に切り種を除く
バジルの扱い
生のバジル束(正確なグラム表記なし、最初にニンニク・塩と共にすり潰す)
チーズ
ペコリーノロマーノ 1oz(30g)
すり潰す道具
乳鉢のみ(『ブレンダーでは作れない』と専用チャプターで明言)
仕上げ
エキストラバージンオリーブオイル大さじ1(15g)を最後に混ぜ込む
所要時間
合計45分(下準備10分・調理35分相当)
出典
出典確認済
ファビオ チーズ不使用、ニンニクをオイルで先に加熱
麺・分量
ブジアーテ60g(フジッリ・ペンネで代用可)
塩
塩は適量、トマトには『気持ち強めの塩』
ニンニクの扱い
2カケを潰してオリーブオイルで弱火にかけ、先に香りを立てる
アーモンドの下ごしらえ
素焼きアーモンド50g(ローストしたアーモンドを使用。生は使わない)
トマトの下ごしらえ
プチトマト100gを半割りにし、生のまま加えて火を入れる
バジルの扱い
バジリコ12g。茎は先に香り出しに使い、葉は後から加える
チーズ
使用しない(レシピにチーズが登場しない)
すり潰す道具
ハンドブレンダーで撹拌(乳鉢は使わない)
仕上げ
エキストラバージンオリーブオイルを仕上げにかけて完成
所要時間
合計約15分(目安)
出典
出典確認済

工程を組み替えてみる(任意)

URLに選択が残るので、そのまま共有できます

1 麺と茹で 麺の銘柄・太さ・塩分・湯量・茹で時間
2 ベース 油脂・主素材の扱い(脂を出す・香りを出す)
3 ソースと乳化 和える場所・火加減・茹で汁の量
4 仕上げ チーズ・胡椒・追い油・盛り付け

流派マップ:どこで温度を作るか

トラーパニ風ペストパスタの分岐点は乳化と加熱の方式

直火で和える

フライパンを火にかけたまま手で温度を作る。速いが、手の感覚が要る。

  • 該当する流派なし

間接熱で温度管理

湯煎・蒸気・二重鍋・ハンドミキサー。再現性が高い代わりに一手間。

火を止めて余熱で

火を切ってから、あるいはボウルで麺の熱だけで乳化させる。失敗しにくい。

この後に出す一皿

イタリアの献立では primo(パスタ)の後に secondo(主菜)が来ます

リグーリア 55 min

スズキのオーブン焼き

Branzino al forno alla ligure

ヨーロッパスズキ(branzino/spigola)を丸ごとオーブンで焼く地中海沿岸の定番料理。リグーリア風はじゃがいも・ミニトマト・タジャスケオリーブ・松の実を敷き詰めて焼くのが特徴で、魚の脂を野菜が吸って一皿で完結する。

合うパスタ:ジェノベーゼ / ボンゴレ・ビアンコ / レモンのパスタ

アーモンドとトマトを生のまま和える軽いソースなので、オーブン焼きの魚を主役にする献立でもプリモが脂で先行して重くならない。

シチリア 60 min

カポナータ

Caponata siciliana

揚げたナスをセロリ・玉ネギ・オリーブ・ケッパーとともに甘酢(アグロドルチェ)で煮絡めたシチリアの一皿。今日ではコントルノまたは前菜として供され、シチリア州の伝統的農産食品(P.A.T.)に登録されている。

合うパスタ:ノルマ / イワシのパスタ / トラーパニ風ペストパスタ

同じシチリア島のトラーパニ産だが、生のアーモンド・トマトの軽いプリモの後に、火を通した甘酢野菜のセコンドを置くことで温度と調理法の対比をつける献立の型。

ナポリ・カンパーニア 90 min

茄子のパルミジャーナ

Parmigiana di melanzane

揚げた茄子とトマトソース、モッツァレッラなどのチーズを重ねてオーブンで焼く南イタリアの野菜料理。イタリア農業省の伝統食品リストにカラブリア・カンパニア・プーリア・シチリアの名物として登録されている。名の由来は諸説あり、「パルマ風=野菜を層に重ねて調理する」とする辞書の説明のほか、パルミジャーノに由来するとの見方もある。

合うパスタ:レモンのパスタ / トラーパニ風ペストパスタ / チーマ・ディ・ラーパのパスタ

パルミジャーナの発祥を主張する州の一つがシチリアで、土地の系譜が重なる。無加熱のペーストで軽いトラパネーゼをプリモに置けば、焼き込みで重いセコンドとの順序も崩れない。

トスカーナ 60 min

鶏のカッチャトーラ

Pollo alla cacciatora

ぶつ切りの鶏をオリーブオイルで焼き、香味野菜とワイン、トマトでゆっくり煮込む家庭料理。「猟師風」の名は、獲物を待つ猟師の腹を満たす煮込みだったことに由来するとされ、もともとトマトは使わず後から加わった。ワインは北部で白、南部で赤を使う傾向がある。

合うパスタ:レモンのパスタ / グリーチャ / トラーパニ風ペストパスタ

無加熱のアーモンドとバジルのペーストは軽く、じっくり煮込んだ鶏肉料理の前に置くプリモとして、重さの逆転を避ける型に合う。

この皿で使う道具と食材

調理に使う道具と、この皿に合う食材の購入候補です。

トラーパニ風ペストパスタの蘊蓄

食材

日本の規格に「エキストラバージン」という等級は存在しない

IOCは遊離酸度0.8%以下と官能パネルでエキストラバージンを定義する。一方、日本のJAS 0523:2024にあるのは「オリーブ油」と「精製オリーブ油」の2区分だけだ。発煙点をめぐる誤解、喉を刺すオレオカンタール、品種が決める辛味の幅、そして乳化。本稿で比較する既存30皿のうち22皿に入っている油を、規格・科学・レシピの三方向から追う。

食材

乾燥は8〜10日から2〜3時間になった:デュラム小麦とブロンズダイスと、乾麺の100年

イタリアの法律は「pasta di semola di grano duro」の名乗りを、デュラム小麦のセモリナと水だけに限る。グラニャーノIGPは乾燥を40〜85°C・4〜60時間で縛る。日本のJASは7,840kPa以上で押し出せと書く。番手・ダイス・乾燥温度という3つの変数が、皿の上でソースが絡むかどうかを決めている。

食材

イタリアにトマトが着いてから、パスタに乗るまで242年かかった

記録に残る最古のイタリアのトマトは1548年10月31日、フィレンツェ郊外の農園からピサのコジモ1世へ届いた籠。パスタとトマトソースが同じ皿に載った最初の記録は1790年。マルコ・ポーロの麺は1929年にアメリカの業界誌が作った話で、サンマルツァーノは2011年時点で米国市場の推定95%が非正規品。トマトという素材を、出典の残っている事実だけで縦に貫く。