ひと皿から、少し遠くへ。Recipes, people & good things.
リガトーニ・アラ・グリーチャ

ローマ・ラツィオ · No.18 / 103

リガトーニ・アラ・グリーチャ

Pasta alla gricia, 4 ways

グアンチャーレ・ペコリーノ・黒胡椒だけ。カルボナーラから卵を、アマトリチャーナからトマトを抜いた「原型」とされ、乳化を直火で作るか湯煎か、パスタ水をどれだけ効かせるかで流派が分かれる。

作り手のレシピから選ぶ

各カードは元動画またはレシピ記事へつながります。流派をそのままビルダーに入れることもできます

白ワインを効かせるローマ流

  • 3大流派(カルボナーラ・カチョエペペ)の中でも唯一、辛口白ワインを加える
  • 「パンチェッタでもベーコンでもなく必ずグアンチャーレ」と原材料を強く指定
  • ペコリーノを1回でなく3回に分けて振り入れ、都度和える
元のレシピを見る この流派を入れる
本人の発言
  • Do not use pancetta nor bacon. It has to be guanciale. 出典

参照: [1]

小鍋の濃い茹で汁ででんぷんを最大化

  • 水から中火にかけてグアンチャーレをレンダリングし、焦げ付き前に脂を出す独自の下処理
  • 小鍋に少ない湯量で茹でて茹で汁のでんぷん濃度を上げる、彼の一貫した科学的アプローチ
  • チーズ投入時の理想温度域(65〜71℃)を明示し、なぜ火を止めるかを説明する
元のレシピを見る この流派を入れる
本人の発言
  • Reserve and set aside at least 2 cups (475ml) pasta water... Set the pan over high heat and add 1/2 cup (120ml) of the reserved pasta water. Toss and stir constantly as the liquid reduces into a glossy sauce. 出典

参照: [1]

レシピ記事が出典(動画なし)

カチョエペペ流のボウル乳化寄り

  • グリーチャを『カルボナーラから卵を抜いた版』『カチョエペペにグアンチャーレを足した版』の両方として説明
  • ソースをカチョエペペと同じ手順(ペコリーノ+茹で汁を先にクリーム化)で作る
  • パスタを火から下ろして1分置いてからチーズと合わせ、分離を防ぐ
元のレシピを見る この流派を入れる
本人の発言
  • it can either be thought of as a carbonara with eggs omitted or as a cacio e pepe with guanciale (cured pork jowl) added 出典

参照: [1]

湯煎の蒸気で仕上げる二段構え

  • グアンチャーレを焼く前に黒胡椒だけを先にパンで1分炒って香りを立たせる
  • 皮や脂身も含めグアンチャーレを全量使い切ることを明言
  • 大鍋の上に脂の残ったフライパンを重ね、鍋の蒸気(間接熱)で温度を保ちながら和える二段構えの乳化
元のレシピを見る この流派を入れる
本人の発言
  • Put the large pot back on the stove, and your pan on top of the pot 出典

参照: [1]

11軸で横断比較

数値は各動画・レシピ記事の表現をそのまま転記

AXIS Max Mariola J. Kenji López-Alt Pasta Grammar Vincenzo's Plate
麺・分量・茹で スパゲッティ(タンパク質12.5g/100g以上)2人分ブロンズダイ麺227g(リガトーニ/スパゲッティ/ブカティーニ/トンナレッリ)2人分リガトーニ等の溝付きチューブ状パスタ185g・2人分メッツェマニケ(リガトーニ/スパゲッティ可)250g・2人分
茹で湯の塩 記載なし控えめしっかり塩を効かせる岩塩大さじ1
湯量・でんぷん濃度 記載なし深さ約4cmの小鍋で少なめ・でんぷん濃度を上げる記載なし記載なし
グアンチャーレの切り方・脂の出し方 グアンチャーレ200g・幅0.5cm短冊・油なしで自身の脂だけで焼くグアンチャーレ85g・1.3cm角切り・水大さじ2から中火で約7分レンダリンググアンチャーレ100g・小さな角切り・弱めの中火でじっくりグアンチャーレ150g・皮も脂身も全量使用、短冊切り
ワイン・酸の有無 辛口白ワイン グラス半分未満使わない使わない使わない
チーズ(種類・量・タイミング) フレッシュペコリーノ・ロマーノを極薄削りで3回に分けて投入ペコリーノ・ロマーノ57g、4分の3を火を止めてから・残り4分の1を仕上げペコリーノ・ロマーノ70gを茹で汁でクリーム状にしてから和えるペコリーノ・ロマーノ150g・黒胡椒と混ぜてから茹で汁でクリーム化
乳化の方式 直火・火を止めてから茹で汁とチーズを合わせる強火で茹で汁を沸騰させ乳化、チーズは火を止めてからボウルで茹で汁とチーズを先に合わせてクリーム化(カチョエペペ式)大鍋の上にフライパンを重ね、蒸気の間接熱で弱火のまま乳化
火加減 強火でグアンチャーレを焼き、仕上げは火を止めてからグアンチャーレは中火、乳化は強火、チーズ投入は火を止めてグアンチャーレは弱めの中火、仕上げは火から下ろして1分置くグアンチャーレは中火で焼き、仕上げは鍋の蒸気を使う弱火
黒胡椒 たっぷりの黒胡椒で斑点模様に粗挽き小さじ1をブルーミングしてから使用、仕上げにも追加黒胡椒焼く前のパンで1分炒って香りを立たせ、仕上げにも追加
仕上げ 黒胡椒を強調して盛り付け残りのペコリーノと黒胡椒を追加1分冷ましてから胡椒とチーズクリームを和える取り分けたカリカリグアンチャーレを最後に散らす
所要時間 記載なし記載なし20分記載なし
出典の確認 一部未確認出典確認済出典確認済出典確認済
Max Mariola 白ワインを効かせるローマ流
麺・分量・茹で
スパゲッティ(タンパク質12.5g/100g以上)2人分
茹で湯の塩
記載なし
湯量・でんぷん濃度
記載なし
グアンチャーレの切り方・脂の出し方
グアンチャーレ200g・幅0.5cm短冊・油なしで自身の脂だけで焼く
ワイン・酸の有無
辛口白ワイン グラス半分未満
チーズ(種類・量・タイミング)
フレッシュペコリーノ・ロマーノを極薄削りで3回に分けて投入
乳化の方式
直火・火を止めてから茹で汁とチーズを合わせる
火加減
強火でグアンチャーレを焼き、仕上げは火を止めてから
黒胡椒
たっぷりの黒胡椒で斑点模様に
仕上げ
黒胡椒を強調して盛り付け
所要時間
記載なし
出典
一部未確認
J. Kenji López-Alt 小鍋の濃い茹で汁ででんぷんを最大化
麺・分量・茹で
ブロンズダイ麺227g(リガトーニ/スパゲッティ/ブカティーニ/トンナレッリ)2人分
茹で湯の塩
控えめ
湯量・でんぷん濃度
深さ約4cmの小鍋で少なめ・でんぷん濃度を上げる
グアンチャーレの切り方・脂の出し方
グアンチャーレ85g・1.3cm角切り・水大さじ2から中火で約7分レンダリング
ワイン・酸の有無
使わない
チーズ(種類・量・タイミング)
ペコリーノ・ロマーノ57g、4分の3を火を止めてから・残り4分の1を仕上げ
乳化の方式
強火で茹で汁を沸騰させ乳化、チーズは火を止めてから
火加減
グアンチャーレは中火、乳化は強火、チーズ投入は火を止めて
黒胡椒
粗挽き小さじ1をブルーミングしてから使用、仕上げにも追加
仕上げ
残りのペコリーノと黒胡椒を追加
所要時間
記載なし
出典
出典確認済
Pasta Grammar カチョエペペ流のボウル乳化寄り
麺・分量・茹で
リガトーニ等の溝付きチューブ状パスタ185g・2人分
茹で湯の塩
しっかり塩を効かせる
湯量・でんぷん濃度
記載なし
グアンチャーレの切り方・脂の出し方
グアンチャーレ100g・小さな角切り・弱めの中火でじっくり
ワイン・酸の有無
使わない
チーズ(種類・量・タイミング)
ペコリーノ・ロマーノ70gを茹で汁でクリーム状にしてから和える
乳化の方式
ボウルで茹で汁とチーズを先に合わせてクリーム化(カチョエペペ式)
火加減
グアンチャーレは弱めの中火、仕上げは火から下ろして1分置く
黒胡椒
黒胡椒
仕上げ
1分冷ましてから胡椒とチーズクリームを和える
所要時間
20分
出典
出典確認済
Vincenzo's Plate 湯煎の蒸気で仕上げる二段構え
麺・分量・茹で
メッツェマニケ(リガトーニ/スパゲッティ可)250g・2人分
茹で湯の塩
岩塩大さじ1
湯量・でんぷん濃度
記載なし
グアンチャーレの切り方・脂の出し方
グアンチャーレ150g・皮も脂身も全量使用、短冊切り
ワイン・酸の有無
使わない
チーズ(種類・量・タイミング)
ペコリーノ・ロマーノ150g・黒胡椒と混ぜてから茹で汁でクリーム化
乳化の方式
大鍋の上にフライパンを重ね、蒸気の間接熱で弱火のまま乳化
火加減
グアンチャーレは中火で焼き、仕上げは鍋の蒸気を使う弱火
黒胡椒
焼く前のパンで1分炒って香りを立たせ、仕上げにも追加
仕上げ
取り分けたカリカリグアンチャーレを最後に散らす
所要時間
記載なし
出典
出典確認済

工程を組み替えてみる(任意)

URLに選択が残るので、そのまま共有できます

1 麺と茹で 麺の銘柄・太さ・塩分・湯量・茹で時間
2 ベース 油脂・主素材の扱い(脂を出す・香りを出す)
3 ソースと乳化 和える場所・火加減・茹で汁の量
4 仕上げ チーズ・胡椒・追い油・盛り付け

流派マップ:どこで温度を作るか

リガトーニ・アラ・グリーチャの分岐点は乳化と加熱の方式

直火で和える

フライパンを火にかけたまま手で温度を作る。速いが、手の感覚が要る。

間接熱で温度管理

湯煎・蒸気・二重鍋・ハンドミキサー。再現性が高い代わりに一手間。

火を止めて余熱で

火を切ってから、あるいはボウルで麺の熱だけで乳化させる。失敗しにくい。

この後に出す一皿

イタリアの献立では primo(パスタ)の後に secondo(主菜)が来ます

トスカーナ 60 min

鶏のカッチャトーラ

Pollo alla cacciatora

ぶつ切りの鶏をオリーブオイルで焼き、香味野菜とワイン、トマトでゆっくり煮込む家庭料理。「猟師風」の名は、獲物を待つ猟師の腹を満たす煮込みだったことに由来するとされ、もともとトマトは使わず後から加わった。ワインは北部で白、南部で赤を使う傾向がある。

合うパスタ:レモンのリングイネ / リガトーニ・アラ・グリーチャ / ブジアーテ・トラーパニ風ペスト

トマトを使わない乾いた味わいのグリーチャを先に置けば、後から来るカッチャトーラのトマトと風味が重複せず、重さの順序も逆転しない。

ローマ・ラツィオ 20 min

サルティンボッカ

Saltimbocca alla romana

薄く伸ばした仔牛肉にセージと生ハムを重ねて爪楊枝で留め、バターでソテーする一皿。名は「口に飛び込む(salta in bocca)」意。生ハムの塩気とセージの香りが仔牛の淡白さを補う構造で、生ハム側に火を入れすぎないのが肝とされる。

合うパスタ:リガトーニ・アラ・グリーチャ / トンナレッリ・カチョ・エ・ペペ / アサリのリングイネ

同じローマの献立。グアンチャーレと羊乳チーズだけの素朴なプリモから、生ハムとバターのセコンドへ、土地の一致でそのままつながる。

この皿で使う道具と食材

調理に使う道具と、この皿に合う食材の購入候補です。

リガトーニ・アラ・グリーチャの蘊蓄

食材

モッツァレラは0mg、48ヶ月のパルミジャーノは2220mg

ペコリーノ・ロマーノDOPは羊乳100%でおろし用は最短8ヶ月、パルミジャーノ・レッジャーノDOPは牛の生乳で最短12ヶ月。産地も熟成も法律で決まっているのに、日本の棚に並ぶ「パルメザンチーズ」にはその縛りがない。乳の種類・熟成の長さ・粒の細かさという3つの軸から、サイト内の全レシピを貫くチーズの使い分けを追う。

食材

乾燥は8〜10日から2〜3時間になった:デュラム小麦とブロンズダイスと、乾麺の100年

イタリアの法律は「pasta di semola di grano duro」の名乗りを、デュラム小麦のセモリナと水だけに限る。グラニャーノIGPは乾燥を40〜85°C・4〜60時間で縛る。日本のJASは7,840kPa以上で押し出せと書く。番手・ダイス・乾燥温度という3つの変数が、皿の上でソースが絡むかどうかを決めている。

食材

イタリアにトマトが着いてから、パスタに乗るまで242年かかった

記録に残る最古のイタリアのトマトは1548年10月31日、フィレンツェ郊外の農園からピサのコジモ1世へ届いた籠。パスタとトマトソースが同じ皿に載った最初の記録は1790年。マルコ・ポーロの麺は1929年にアメリカの業界誌が作った話で、サンマルツァーノは2011年時点で米国市場の推定95%が非正規品。トマトという素材を、出典の残っている事実だけで縦に貫く。